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「元気一杯」写真撮影・携帯禁止、のれんも看板も無し、高菜や麺を先に食べたら退場のラーメン店。でもうまい。

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Genki ippai 1

2018/4/22追記
撮影OKになったとの噂を聞き、再訪してきました。
確かに撮影OK、ピリピリムードもなくスープは相変わらず、いや前よりさらに美味しくなったかも。

今なら全力で推せる!ここでしか食べられないラーメンをぜひ。

天気一杯のラーメン 撮影OKになった伝説の店「元気一杯」究極の豚骨スープがここにある

本日紹介するお店は、福岡では知る人ぞ知るラーメン店「元気一杯」。
常にその独自の哲学と味に賛否両論が渦巻く、有名店である。

知らない方のために簡単に説明しておくと、
・のれんも看板も無し。表にかかっている水色バケツが開店を知る唯一の手がかり
・写真撮影、携帯操作、着信音が鳴る、子供連れ、地図を眺めながらの入店、店内を過度にキョロキョロ、メニューを聞く、大盛り注文、高菜を先に食べる、麺を先に食べる
 これら全て退場処分となる
 ※一部誇張されている可能性もあるため注意のこと
・ただ、スープは確かに美味い。だからこんな偏った方針でも店が続いている

事前知識なしで行くと間違いなく引っかかってしまうであろう、これらの厳然たるルールがあるのだ。
(もっとも、事前知識なしでここにラーメン店があると認識できることはあり得ないが…)

10年ほど前の学生時代に行ったきりのこの店に、先日潜入してきたのでその様子をレポートしていきたいと思う。

場所を知っていても素通りしかねない、水色バケツが目印の「元気一杯」

いつものようにGoogleマップで検索し、場所を確認しながらお目当ての「元気一杯」に向かう。

場所を知っているにも関わらず、一度素通り。一周したのちに、やっと目印の水色ミニバケツを発見。

ご覧の通り、予備知識がなければ絶対にここに店があるなどとは思わない構えである。

Genki ippai 1

昼頃にはよく行列ができているらしいが、時間が13:45頃とやや遅かったためか並んでいる人はなし。


入店前にルールを確認し、気持ちを整えて…と思うかもしれないが、ハッキリ言ってそんな暇はない。

なぜならもう戦いは始まっているのだから。

Genki ippai 2




Genki ippai 3

おわかりいただけただろうか。

そう、監視カメラである。


私の知り合いは行列に並んでいるときに「入店前だからいいだろう」と携帯をいじっていて、出てきたおかみさんに「店内携帯禁止ですから」とクギを刺されたらしい。

うかうか店の写真を撮っている場合ではないのだ。

念のため携帯の電源を切り、おそるおそる入店した。
(以下、当然のことながら写真はないのでご容赦頂きたい)


ラーメン注文。手持ちぶさたで緊張した時間が流れる

「いらっしゃいませー!」
愛想のよい、アニメ声のおかみさんが迎えてくれた。
奥でラーメンを作っている大将も「いらっしゃいませー!」と呼応する。

ピリピリした感じを想像していたが、むしろ愛想がいい部類のお店といってもいい。
事前知識がなく、普通に看板やのれんがあり、監視カメラがなければ全然普通のラーメン店だと思っていたことであろう。

しかしここは戦場だ。油断してはならない。


あまりオーダーまで時間をおいては、怒られてしまうかもしれない。

着席するなり「ラーメン、カタで」と注文。

携帯も取り出せず、卓上の高菜にも手はつけられないので、キョロキョロしすぎない程度に店内を観察しながらラーメンの到着を待つ。


店内の壁にはメニューの他に、以下のようなお断り文がどどんと貼り出してあった。

お断り
当店は「ラーメンはスープが命」とこだわる方が集う専門店です。
スープを先に「吟味」することがお好みではない方は、当店の御利用を御遠慮下さい。

ところどころ赤字になっており、店側の強い意志を感じさせる。
端的に言えばちょっと怖い。

私もラーメンはスープ命と思っているタイプだが、それを態度で示さないと容赦なく退場となるであろうことを改めて感じたのであった。

その他、卓上や壁にカメラ・携帯禁止マーク。
「元気一杯グッズ」なる文言も見られたが、具体的にどのようなグッズなのかは見回した限りではわからなかった。


そうこうしているうちに、先客が会計に席を立った。

おかみさんがレジ前で対応する。一通り観察し終わった私は特にすることもないので、その様子をぼーっと眺めていた。

そのとき、一瞬おかみさんの目がこちらをギラリと伺ったのを私は見逃さなかった。
おそらく、高菜を先に食べていないか、携帯をいじったり写真を撮っていないかをチェックしていたのであろう。

その後、それまで以上に身動きをせずじっとしていたのは言うまでもない。


ラーメンは、王道のとんこつ。雑味のないさすがのスープ

地蔵のように身じろぎもせず待っていると、ついにラーメンが目の前に運ばれてきた。


泡立ち系の白濁とんこつスープにスタンダードな細麺、具はチャーシュー、ネギ、きくらげ。
いかにも濃厚そうな見た目と香りがただよう。

「スープから先にどうぞー♪」と、笑顔のおかみさん。
だが、この言葉は「そっちの方がおいしいですよ」とかいう生易しいものではなく、厳然たる掟なのだ。


郷に入りては郷に従え。この国のルールにしたがい、スープからまず一口。

うむ、旨い!王道の豚骨濃厚スープ。
最近では魚介や鶏を合わせたり、醤油ダレが強めだったり辛味ダレを入れるラーメンもあるが、ここは本当に豚骨の旨味のみで勝負しているなという印象。

スープを4、5口ほど味わったのちに、麺と一緒にいただく。
麺は普通の、博多ならどこにでもある細麺。特筆すべきことはないけれど、これもスープを際立たせるためにあえて特徴のないものを使っているのかもしれない。

チャーシューやきくらげ、ネギといった具も、この丼の中では脇役に徹している。
演劇でいえば「岩」とか「草」みたいなもので、そこにないと締まらないけれど主役のように目立つことはない、そんな存在。


何度も水で口内をリセットしながら、スープを何度も味わいつつ食べ進める。

途中、旅行者らしき人がスーツケースを転がしながら入店してきたときは「この国の法律知ってるよね?大丈夫だよね?」とドキドキしたが、よく教育された民であったようで混乱はなかった。

内心ホッとしつつ、2/3くらい食べたところで辛子高菜を投入。


この大ぶりに切られた高菜、他のラーメン店でもなかなか見ないレベルで激辛なことに驚いた。

高菜のみで数切れ食べると、辛さにしばらく舌が麻痺。この状態でスープを飲むのがもったいないのでしばらく待ったほど。

これだけスープにこだわる店で、味がわからなくなるレベルの激辛高菜を置いているとは……
いや、これもきっとこだわりの一部なのだろう。


少し辛くなったスープを飲み干し、「ごちそうさまでした。」と告げてお金を払い、店を後にする。

「ありがとうございました!」とおかみさんは満面の笑顔で見送ってくれた。大将も「ありがとうございました!」と。

きっと大人しい態度、スープからじっくり味わい最後には飲み干す食べっぷりを見て、民として認めてくれたのだと思う。


あとがき

個人的な好みとしては、「この店が一番だ!」とまでは言わないが、確かに旨い豚骨ラーメンだった。
確かなスープへのこだわりを感じたし、ハマる人はがっつりハマるはず。

「豚骨ラーメンはスープだ!」と信じて疑わないという方は、ぜひ一度行ってみてはいかがだろうか。
緊張の先に、きっと今までにないスープの美味しいラーメンが待っているはずだ。


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