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自宅で紙の本をデータ化する、いわゆる「自炊(紙の本の電子書籍化)」に関してどこよりも詳しく解説している当ブログ。
購入する裁断機やスキャナーの選び方から、実際の手順、後片付けに至るまでは以下の記事にまとめてあります。
本の自炊方法まとめ。裁断、スキャンからタブレット・Kindleでの読書まで徹底解説!裁断機とスキャナーを自宅に備えておけば、いつでも好きなときに本をデータ化できるのは大きなメリット。
加えて書籍だけでなく説明書や書類、名刺、プリント類もサクサクとPDFやJPGデータにして捨てられるので家も片付きやすい。
以上の理由から、自宅での『自炊』のニーズはそれなりにあるんじゃないかと思っています。
とは言っても、「やってはみたいけど踏み出せない」「よくわからない」という人もまだまだ多いはず。
今回はそんな方に向け、Q&Aという形で「自炊(本の電子化)」についてまとめてみました!
Q1. “自炊”(本の電子化)とは?
俗に言う『自炊』とは、紙の本を自ら裁断し、スキャナーにかけてデータ化(電子書籍化)することを指す言葉。
本当かどうかはわかりませんが、「自ら吸い込む」ことから『自炊』と名付けられた説が有力なようです。
書籍の電子化の際、データを「自ら吸い込む」ことから「自炊」と呼ばれるようになった
自炊 (電子書籍) – Wikipedia
元々はネットスラングでしたが、iPadやKindle、タブレットPCなど電子化した本を読むのに便利なデバイスの普及により、かなり一般にも使われる言葉になってきました。
上記のWikipediaでは『きれいにスキャンするには相応の技術を要する』とありますが、実は裁断・スキャンに大した技術など必要ありません。
例えば以下の記事を読んでもらえれば、ほとんど誰でもきれいに本の裁断からスキャンまで完了できるはず。
自炊用の裁断機ダーレDurodex 200DXで本を裁断。ほとんどの本が一発で切れて素晴らしいぞ!
ScanSnap iX1500の使い方と設定方法。自炊用にも優秀な超定番スキャナー【レビュー】
当記事でも「自炊はそんなに難しくない」ということを知ってもらえるよう書いていますので、これ以降のQ&Aも読んでみてください。
Q2. 自炊にはどんなメリットがある?
自炊して紙の本をデータ化することで得られる一番のメリットは、やはり自宅のスペースを空けられることでしょう。
本を読んだそばから売ったり捨てたりできれば良いですが、後で読み返したりリファレンスとして使ったり、などとっておきたい本もあるもの。
電子化してあればいつでも読み返せるし、大量の本や巨大な本棚にスペースを占有されなくてすむ。
私は既に1,000冊以上を自炊しデータ化していますが、それが紙の本として家にあったらと考えると恐ろしい。。。
スッキリした家を保つためにも、今や私にとって”自炊”は必須です。
紙の本と違って物理的な大きさや重さがないため、電子化した本は何百冊でもラクに持ち運べるのもメリット。
iPadやパソコン等に入れて、何十冊でも、何百冊でもラクに持ち歩けます。
他にもテキスト認識(OCR)させて検索できたり、ドラッグ&ドロップで整理しやすかったり…といった利点も。
Q3. 自炊のデメリットは?
自宅で自炊する上での最大のハードルは、やはり裁断機やスキャナーを揃えるコストでしょう。
裁断機は1〜4万、スキャナーもちゃんとしたものは4万くらいはするので、ポンと出すには躊躇する金額。私はメリットを知っているのでそれでも出す価値があると思っていますが、最初の一歩を踏み出すのはなかなかにハードルが高い。
ただ、裁断機はともかくスキャナーは他にもさまざまな紙類をデータ化できるので、自炊に使うだけではないメリットがあるのは考慮してよいかと思います。
あとは裁断機・スキャナーを揃えていても、本をわざわざカットしてスキャナーにかけ、データ化した本を整理するのはわりと面倒。
また、紙の本を所有したり、本棚に並べたりして得られる喜びはやはり電子書籍にはない部分があるかなと思います。
それらのハードルについては以下で解説しているので、こちらも参考にどうぞ。
本を自炊(電子化)する場合に考慮すべきデメリットとリスク5つQ4. 紙の本をデータ化(自炊)するには、どういう方法がある?
裁断機とスキャナーを揃え、自分で自炊する
紙の本をデータ化する方法としてまず挙げられるのは、自分で裁断機やスキャナーを揃えて電子化する自宅での自炊。
裁断機やスキャナーはそれなりに高価ですが、一旦揃えてしまえばあとはやるだけ。
業者に任せるのは不安な人や、自分で設定など微調整したい人はこちらの方法がいいでしょう。
紙の本を買ったそばからすぐにPDF・JPGデータ化できるのは、いちいち荷造りして送付する必要があり時間もかかる自炊業者と比べたときの大きなメリットです。
福岡にお住まいなら、私も開設にかかわった自炊スペースで裁断機・スキャナーを300円/30分で利用できます。本の自炊はもちろん、裁断機やスキャナーの使い勝手を試してみるのもおすすめ。
福岡市中央区大名のヨカラボ天神内にあります。
福岡のヨカラボ天神内に本の自炊スペースOPEN。最新の裁断機&スキャナーで捗るぞ!年賀状や名刺のスキャンにも。自炊代行業者に本を送ってデータ化してもらう
もうひとつは、本の自炊代行業者に本を送ってデータ化してもらう方法。
大量に本がある場合は自分でデータ化するのは大変なので、業者に送って自炊してもらう方がラクでしょう。
だいたい1冊あたり100〜300円といったところですが、大判本・カラースキャン・テキスト認識などで追加料金が必要だったりと業者によって料金体系はさまざまなので、依頼する場合にはいくらかかるのかきっちり確認しておきましょう。
スキャナーを自分で持っている、読み取り時の設定にこだわりたいという人には裁断のみを専門とする「カットブックプロ」というサービスもあります。
私も一度利用してみたんですが、高品質でどんな本でもきれいに裁断してくれるので好印象。
スキャンは別途自分でどうにかする必要はありますが、こういったところを利用するのもアリですね。
価格は、1冊あたり送料込みで87〜155円ほど。一度に送る冊数や本の種類によって異なるので、料金表にてご確認ください。
Q5. 自宅で自炊するための裁断機は、どれを選べばいい?
自宅で本をカットするための裁断機として私がおすすめするのは、ダーレ自炊裁断機 Durodex 200DXとカール裁断機 DC-210Nの2つです。
【私の一押し】ダーレ自炊裁断機 Durodex 200DXの特徴
私が一押しの自炊用裁断機は、ダーレ Durodex 200DX。
以下の特徴を持っています。
- PPC用紙約200枚を一度に裁断できるため、ほとんどの本は1発でOK。本の裁断にかける時間を短くできる
- 切り口がやや湾曲するが、自炊する上ではほぼ影響なし
- サイズが大きく重め(約9.8kg)
- 価格は約4万2千円ほど
なんと言っても一度に裁断できる枚数が多いのが最大の特徴で、ほとんどの本は1回レバーを押し下げるだけでカットできます。
YouTubeにDurodex 200DXを使った詳しい本の裁断方法をアップしているので、この動画を見てもらえるとわかりやすいはず。
それなりに大きくて重く値は張るものの、それなりの冊数を自炊するつもりなら一押しはこのDurodex 200DX。もちろん私も使ってます。
もっと詳しい自炊裁断機 Durodex 200DXのレビューが見たい方は、以下の記事をどうぞ。
ダーレのDurodex 200DX 自炊裁断機は、1000冊自炊した私のオススメ。その理由は? 自炊用の裁断機ダーレDurodex 200DXで本を裁断。ほとんどの本が一発で切れて素晴らしいぞ!カール裁断機 DC-210Nの特徴
もう1つの選択肢が、カールの裁断機DC-210N。
- 裁断能力はPPC用紙約40枚と、Durodex 200DXの約5分の1。1冊の本を4,5回に分けて裁断する必要あり
- その分比較的軽め(約2.6kg)で薄いため取り回しやすい
- 価格は約1万円ほど
一度に裁断できる枚数が少ないため、1冊の本を何回かに分けて裁断しなければならないのが面倒。Durodex 200DXに比べると作業量は若干増えてしまいます。
その分サイズが小さくて軽く、価格も約1万円と比較的お手頃。
私もDurodex 200DXを買うまではこのDC-210Nで700冊ほど自炊しました。
実際にDC-210Nで裁断する手順をYouTubeにアップしたので、購入検討している方はこれを見てもらえればわかりやすいかと。
ダーレ自炊裁断機 Durodex 200DXとカール裁断機 DC-210Nのどちらを選ぶかは、作業にかける時間と労力 VS 価格と取り回しやすさのトレードオフですね。
カールの裁断機DC-210Nに関しては、もう少し詳しく書いたレビュー記事もアップしています。
CARL(カール)の裁断機を、600冊自炊した私がオススメする理由他の裁断機はどうなの?
他に本の自炊用として使えそうな裁断機としては、プラスの裁断機 PK-213、中国系メーカーの大型ペーパーカッター があります。
ただ、前者のプラスPK-213は約2万3千円という価格の割に裁断枚数がそれほど多くなく(PPC用紙約60枚)、後者の中国製ペーパーカッターは裁断能力は高いものの非常に重く(約16kg)作りが粗いので安全性に疑問あり。
個人的には前述のDurodex 200DX、カール裁断機 DC-210Nのどちらかがおすすめ。
もっと詳しい自炊用裁断機の比較記事をチェックしたい方は、以下からどうぞ。
本の自炊用おすすめ裁断機はどれ?1000冊以上自炊した私が徹底的に比較しますQ6. 自炊用のスキャナーは、どれがおすすめ?
裁断した紙の本を読み取るスキャナーとしては、ScanSnapシリーズが断然おすすめ。
ScanSnapは家庭用スキャナーのトップシェアを誇るブランドで、自炊用としても高い性能と安定感を持っています。私ももちろん愛用中。
2024年4月現在販売されている機種でいえば、タッチパネル操作が可能なScanSnap iX1600か、タッチパネル非搭載ながらスキャン性能はiX1600と同等のScanSnap iX1400の2択。
他の機種、たとえばiX1300やiX100、SV600は一度にスキャンできる枚数が少ないため自炊には不向きです。
(参考:スキャナー製品情報 | スキャナーならScanSnap | リコー(Fujitsu Japan))
ScanSnap iX1600の前世代の機種である、ScanSnap iX1500も自炊用として十分な性能を備えています。私はこのiX1500を使用中。
メーカー公式での販売は終了していますが、メルカリなどで中古品は手に入る可能性も。
ScanSnapiX1600のスキャン速度40枚/分に対しiX1500は30枚/分と若干遅めですが、違いはそれだけ。価格差とのトレードオフで選ぶといいでしょう。
定番スキャナーScanSnap iX500で自炊!本に合わせた最適な設定と手順とコツ
ScanSnap iX1500の使い方と設定方法。自炊用にも優秀な超定番スキャナー【レビュー】
Q7. 1冊自炊するのに時間はどれくらいかかる?
試しに裁断機:ダーレ Durodex 200DX、スキャナー:ScanSnap iX1500を使って一般的な少年マンガ1冊を自炊してみたところ、
- 裁断:約30秒
- スキャン:約3分
合計3分30秒程度でデータ化できました。
慣れないうちはもっと時間がかかるかもしれませんが、大した技術が必要なわけでもないので慣れれば誰でもこのくらい(もしくはもっと速く)自炊できるはず。
Q8. データ化した本のファイルサイズ(容量)はどれくらいになる?
私はいつもScanSnapスキャナーを上から2番めの「スーパーファイン」画質にしているのですが、その設定だと『グレー』『カラー』で15〜150MB程度(ページ数等によりかなりバラつきあり)、『白黒』なら10MB前後。
ちなみにもう1つ下の画質「ファイン」だとサイズは半分程度になりますが、iPadで見てみると若干文字にかすれがあります。
それでも読むには支障はありませんが、やはり若干気になるので、私のオススメは「スーパーファイン」。
1冊あたり約100MBとすると、100冊保存しておく場合は約10GBの容量が必要な計算になりますね。
自炊した電子書籍を持ち歩きたい場合、私がデータで持っている1,000冊全部だとデータ容量が大きくなりすぎてしまうので、iPadに2,30冊ほど読みたい本を入れておき順次入れ替えるというやり方にしています。
Q9. 電子化した本は、どうやって読むのがいい?
電子化した本(PDFファイル or JPGファイル)は、Mac・Windowsパソコンの他、iPadやGalaxyTabなどのタブレットPC、iPhoneやAndroidスマートフォン、Kindle Paperwhiteなどさまざまなデバイスで読むことができます。
Macパソコンで読む場合
Macパソコンならプレビューアプリで読むこともできますが、おすすめなのはComicViewer 2というアプリ。
見開き表示が可能で、PDFはもちろんJPGフォルダ、ZIPファイルにも対応。
有料とはいえたったの120円で買えるので、Macでよく自炊した本を読む人にはおすすめです。
Windowsパソコンで読む場合
Windows搭載PCで自炊した本を読む場合には、ユーザー数が多いこともありMac以上に多くの選択肢があるようです。
評判のよいブックリーダーをいくつか挙げておくので、実際に使ってみてしっくりくるものを選ぶとよいでしょう。
・nyalu(Windows 8以前)
・felis(Windows 10)
・NeeView
・Honeyview
iPhone・iPadで読む場合
iPhoneやiPadでJPG/PDF化した本を読みたい場合のおすすめは、i文庫というアプリ。
nagisaworksさんという個人ディベロッパーが開発し、今はあのドワンゴが買収し配信しています。
iPhoneとiPad用のアプリはそれぞれ分かれており、iPhone用のアプリは「i文庫S」。
iPad用のアプリは「i文庫HD」。
i文庫アプリの特徴の一部は以下の通り。他にも豊富な機能を持っています。
iPhoneやiPadで自炊した本を読むのにこれ以上のアプリはないと思う。
- 紙の本をめくるようなインターフェースでページ送り
- PDF、JPGをまとめて圧縮したZIPに両対応
- 横画面にすると自動で見開き表示。左開き・右開きの切り替えも可
- 本棚を作成し、表紙を並べて参照できる
- しおり、マーカー機能。Evernoteにマーカーを引いた文章を送信可
- iTunesによるUSB転送、Dropbox、Google Driveなどのクラウドストレージに対応
- 青空文庫(著作権の切れた作品。「人間失格」「こころ」など)をかんたんにダウンロードして読める
- 2010年のリリース以来アップデートを続け、2022年の今でも使える稀有なアプリ
他にもさまざまな読書アプリがありますが、i文庫を選んでおけばとりあえず間違いはないかと。
Androidスマートフォン・タブレットで読む場合
Androidデバイスで自炊した本を読みたい場合におすすめなのは、なんといってもPerfect Viewer。
メニューが英語なので日本のユーザーにとっては若干とっつきにくいですが、慣れれば簡単。
本棚表示やしおりなど読書するときの基本的な機能もきっちり備えています。
10年以上前からあるアプリなので、ネット上で情報が見つかりやすいのもメリット。
AndroidといえばAmazonの格安タブレット・Fire HDシリーズも含まれるので、セール時にでも買って読書用にしてしまうのもいいですね。
Kindle Paperwhiteで読む場合
基本的にはKindle本の専用端末であるKindle Paperwhiteでも、自炊した本の読書が一応可能。
ただしPDFやJPGそのままではうまく読めないので、変換してKindle Paperwhiteでも読み込み可能な形式にする必要があります。
詳しい手順は以下の記事に載せているので、こちらを参考に。
Kindle Paperwhiteで自炊(PDF化)した本を読む手順いちいちファイル変換する手間を考えると、わざわざKindle Paperwhiteで読むくらいならパソコンなりタブレット、スマートフォンで読んだほうがいい気がしますね。
あとがき
以上のQ&Aは、今まで”自炊”に関してされた質問と、私が思う「こんなことに疑問を持つのでは?」と思ったことをまとめたものです。
これを参考に、よき電子書籍ライフをお送りください!