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チェコの西部にある都市、ロケット/ロケト(Loket)。
Loketはあの打ち上がるロケットではなく、”肘”のことを指す言葉。街の周りを流れるオフジェ川が肘の形のように湾曲していることから名付けられたんだとか。
世界的に有名な温泉保養地であるカルロヴィ・ヴァリの近くに位置する、人口3,000人ほどの小さな街です。
周りを取り込む川がお堀の役目を果たしていることもあり、防衛に優れた要塞都市としても有名。
始めて見るロケット城は美しく、そして内部にある拷問博物館はとても恐ろしかった。。。
こぢんまりとした街はとても静かで美しく、ゆっくり散歩したくなる雰囲気。街唯一のブルワリーで飲んだビールもおいしかった…!
川のほとりにそびえ建つ、無骨だが美しい「ロケット城」と城下町
前日泊まったカルロヴィ・ヴァリから、車で15分ほど。大きな橋の前にやってきました。
川に囲まれたロケットの街に行くルートは3つで、これはそのうちの1つ。比較的新しい橋で、以前は街の反対側にある1ヶ所しか道が無かったとのこと。防衛力高い。
川のほとりに見えたのがロケット城。
豪華だったりメルヘンな感じの城ではなく、どちらかといえば無骨なたたずまい。ドラキュラとか、RPGで言うと敵のボスが住んでそう。(失礼)
でも、それでもやっぱり美しい…!
川にかかる急斜面にそびえ立つ様子も素晴らしい。おそらく美しさや豪華さというよりは敵から守るためにはどうすればよいか、といったことを考えて作られた機能美的なものを感じます。
ともかく、橋を渡って街の内部へ。
住人のうち半分くらいは日中はカルロヴィ・ヴァリなど他の都市へ働きに出ていることもあり、街はとても静かでのんびり。住人っぽい方や観光客をちらほらと見るくらい。
古き良きヨーロッパを感じさせる、美しい街並みです。
まず、ガイドさんからロケット市についての簡単な説明を聴きます。ざっくり説明は以下。
・ロケットはドイツとの国境を守る砦だった。ボヘミア地方で十指に入る王様用の城
・17世紀までは重要な防衛拠点だったが、その後は近代化により価値が薄れ多くの城は刑務所などに転用された
・観光客は年12万人。ロケット城がつくられたのは11世紀後半だが、大火で失われたこともあり現存するのは16世紀につくられたもの
・チェコを語る上で非常に重要な人物であるカレル四世の居城であった
周りを川と城壁で囲まれている様子は、まるで「進撃の巨人」のウォール・マリアを思わせます。
街を見て回りつつロケット城へ向かいます。こちらは疫病が蔓延したとき、この街には被害が及ばなかったことを感謝して建てられた三位一体の柱。
奥に見えるのは教会ではなく市庁舎。こういった建物に慣れていないので、どれも教会に見えてしまう…。
吸い込まれそうな湾曲した石畳の道。ほとんどは家だったり営業していない店だったりでシーンとしていますが、それもまた良し。可愛い街並みを見ながら散歩が楽しい。
城の入り口へ続く上り階段。いちいち絵になります。
ここがロケット城の入り口。青い空に城が映えます。
ほとんどの城は国所有で月曜が休みだったりするそうなのですが、ここは町の所有であり365日オープンしているそう。
16世紀の面影が残るロケット城内へ
門をくぐり、中へ。シンデレラ城のようにファンタジーな感じは皆無で、完全に防衛のための城といった風情です。だがそれがいい。
昔亡くなった方々の墓標。以前は町外に墓地があったとのことですが、現在は一部がここに展示されています。
工事中のところがあるのはちょっと残念ですが、それでも昔のヨーロッパが垣間見えて楽しい。
ぐるりと回って(と言っても小さな城なので歩いたのはちょっと)ここまでやって来ました。
アゴひげ(クチバシじゃないですよ!)を触ると幸せになると言われているゴットステイン(GOTTSTEIN)の像。逆に背負っている武器に触ると不幸になるそうなのでお気をつけて。
中世のものらしき武具が飾られているフロア。ああ、これこれ!ゲームとかで見た!
とりあえず、街でいちばん高い塔に上ってみることに。螺旋階段をひたすら上へ。
これは階段の途中に設けられたトイレ。どうやって拭くんだろうとか、落ちたものはどう処理するんだろうとか考えてしまいますね…。
最上部に到着。
ここからの眺めは一見の価値ありです。さっき渡ってきた街の入り口の橋。
街の広場。手前の高い建物は教会です。
螺旋階段の下には、伝説の動物・ドラゴンを模した像も飾ってありました。
いよいよ城内へ。こちらは休憩したり食事を摂っていたと思われる部屋。それこそ進撃の巨人でパンとか食べてる部屋こんなんですよね。
こちらは王の管理するゾーン。祈祷や結婚式などが行われていたと考えられているところ。
一番奥の部屋。どう使われていたかはわかっていないそうですが、見るからに王が座っていたっぽい感じ。
地下にある拷問博物館は、ちょっとエグすぎた。。。
次にガイドさんが喜々として連れてきてくれたのは、城の下部にある部屋。なんだかひんやりした空気が漂います。
なんだかただならぬ雰囲気。そう、ここは過去に行われた拷問の数々を人形で再現した拷問博物館なのです。
いかにも怖がらせる気マンマンで、BGMとして不穏な音楽や叫び声が響く。
部屋についている窓を覗いてみると。。。
ギャー!
過去に実際に行われていた拷問が再現されている様子を見ることができます。
他にもたくさん拷問が見られたのですが、血みどろだったりエグすぎたりでさすがにここに載せるのは憚られるので、気になる方は現地にどうぞ…。
こんなん恐ろしすぎるわ。。。
こちらも拷問器具。相手の顔に取り付けて、先の方を熱すると熱が伝わって。。。
牢屋もたくさん。冤罪も含め、ここで多くの罪人が過ごしてたんだろうなあ。
大丈夫、霊的な意味ではまったく何も感じませんでしたから。(そもそも霊感ないし信じてないけど)
昔ここでつくられていたという食器の展示室。
座る場所のとこにあるフタ、なんだと思います?
じつはこれ、トイレなんです。と言っても個室ではなく、ただの通路に設けられた穴。
昔のヨーロッパ人はトイレしているところを見られるなんて全く気にも留めてなかったらしい。普通に通路ドアを開けたら用を足してる人がいるなんて信じられん…。時代や場所によって感覚も変わるものですね。
スパカップ博物館
城を満喫した後は、風情あふれる街をちょっとだけ歩いて…
街唯一のブルワリーへ。
入り口にはビールジョッキなどのお土産。ですがここはとりあえずスルーして、
2階にあるスパカップの博物館へ。スパカップとは、隣町のカルロヴィ・ヴァリで温泉水を飲むためのもの。症状に応じた適度な温度の温泉を飲むことで体が良くなると信じられているのです。
これらのスパカップはブルワリーを経営する家の方が集めたものだそう。
日本で言う戦前のものも。デザインが美しい。飾っておきたくなるのも納得。
奥のものは、チェコのアイスホッケーチームが長野オリンピックで優勝したときに贈られたものだそうです。
街唯一のブルワリーにて、チェコビールを満喫!
ロケット観光の締めは、やっぱりビール!レストラン兼ビアパブへと降りていきます。
当時の道具などはまだそのまま残っているものの、この町で培われていたビール醸造の技術は残念ながら共産主義時代の方針により完全に失われてしまったとのこと。
その後ドイツに学んでビール醸造を再び始め、ここがロケットでただ1つのブルワリーとして営業しているそうです。
ここで造られているビール。
歩き疲れたところで、昼間からテラスでビール!最高じゃないですか。でもチェコでは普通やで。1人あたりビール消費量世界一の国やからな。
ここのビールを4種類並べていただきました。左からスモーク風味、ピルスナー、キャラメル風味、ロンギンというスペシャルモルト。
どれも甲乙つけがたかったのですが、印象に残ったのはスモークフレーバー。口に入れる瞬間に燻製のような香りがしてびっくりするのですが、コクがあっておいしい!
ガイドさん、実はこのブルワリーの御曹司で現在は経営も担っているとのこと。気さくだし英語は上手だし……イケメン!
最後に注いでくれたのは、11度と特に度数の高いビール。ビールとウイスキーの間の子のような不思議な味わい。度数の割にグイグイいけて危険なやつや…!
昼からビールをしこたま飲んでしまいましたが…まあいいか、チェコだし。
ちなみにこのブルワリーはセントフロリアンという名前で、ホテルも併設されているそうです。
来たときはただ「おお、城だ!」くらいの感じだった景色が、帰りにはたくさんの意味をもった風景に見えてくるから不思議。
見る所は多くないのですが、のんびりしたり立ち寄ったり、ゆっくり泊まるのにはとても静かでよいところだと思いますよ。
チェコの現地ツアーを探してみる
公共交通機関の発達していないチェコで観光地を回るなら、ガイド付きの現地ツアーを利用するのが便利。
豊富なラインナップを揃えた「VELTRA」がおすすめです。
あとがき
こぢんまりとして美しい(だけでなく残酷な面もある)城や街並みが見られ、ビールでも飲みながらのんびりゆっくりできる場所・ロケット。
美しく賑やかな首都プラハもいいですが、こういった場所に来るのも乙なものですよ。
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