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主にヘッドホンやイヤホンをつくっている日本の音響機器メーカー、オーディオテクニカ(略称:オーテク)。
そのオーディオテクニカが先日発売したのが、ワイヤレス軟骨伝導ヘッドホンATH-CC500BT。
耳に音が伝わる経路として知られていた「気導経路」「骨導経路」に続く第3の聴覚経路「軟骨伝導経路」を利用した世界初のワイヤレスヘッドホンとのこと。
ふだんShokzの骨伝導イヤホンを愛用している私としては、この軟骨伝導ヘッドホンの使い心地がたいへん気になる。
気になりすぎたので、実際に買って確かめることにしました。
この記事では、オーディオテクニカ(audio-technica)の軟骨伝導ヘッドホンATH-CC500BTのレビューと、Shokz骨伝導イヤホンと比較したときの良い点・イマイチな点をまとめました!
世界で初めてオーディオテクニカが発売した「軟骨伝導ヘッドホン」
オーディオテクニカの軟骨伝導ヘッドホンのパッケージがこちら。カラーはベージュとブラックの2色で、私はベージュを選びました。
購入時の価格は16,000円。
『”ながら聴き”の常識を変える オーディオメーカー生まれの軟骨伝導ヘッドホン』との謳い文句。
20時間の連続再生、10分充電で約120分再生可能な高速充電、IPX4の防滴仕様などを備えています。
箱を開けると、製品ではなく専用ポーチがドーンと見える無骨テイスト。
軟骨伝導ヘッドホン本体、ポーチ、説明書等。↓の写真には写っていませんが、箱の中に充電用のUSB-C to USB-Aケーブルも入っています。
耳当てが三角形の特徴的なデザイン
軟骨伝導ヘッドホンの本体。骨伝導イヤホンと似ていますが、耳に当てる部分が三角形になっているのが特徴的。
実際に耳の前の軟骨に当てる部分。軟骨伝導に限らずイヤホン・ヘッドホンでこれほど角張っているのも珍しい。
軟骨から音を伝える機能を追求した結果なのか、それともこういうデザインがユーザーに受けそうだと判断してのことなんでしょうか。
35gといえば相当軽いはずなのですが、見た目はそれなりにごつい。
充電はUSB-Cポートから。付属のケーブルでなくとも、汎用的なUSB-Cケーブルで充電できます。
オーテク軟骨伝導ヘッドホンと、Shokz骨伝導イヤホンを徹底比較
私がいつも使っているShokzの骨伝導イヤホンと、オーテクの軟骨伝導ヘッドホンを価格、スペック、デザイン、実際の使い心地で比較してみました。
おそらくこの2種類で迷っている方も多いはずなので、検討するときの参考になれば。
価格、スペックを表で比較
まず、オーテクの軟骨伝導ヘッドホンとShokz骨伝導イヤホンの3機種(OpenRun Pro、OpenRun、OpenMove)の価格やスペックを、表で比較してみます。
ATH-CC500BT | OpenRun Pro | OpenRun | OpenMove | |
---|---|---|---|---|
メーカー |
オーディオ テクニカ | Shokz | ||
聴覚経路 | 軟骨伝導 | 骨伝導 | ||
標準価格 (税込) | 17,600円 | 23,880円 | 17,880円 | 11,880円 |
充電時間 | 約2時間 | 約1時間 | 約1.5時間 | 約2時間 |
急速充電 | 充電10分で2時間 | 充電5分で1.5時間 | 充電10分で1.5時間 | – |
重量 | 35g | 29g | 26g | 29g |
バッテリー 駆動時間 | 約20時間 | 約10時間 | 約8時間 | 約6時間 |
防水防塵規格 | IPX4 | IP55 | IP67 | IP55 |
マイク |
AI ノイズリダクション |
デュアル ノイズキャンセリング |
デュアル ノイズキャンセリング |
デュアル ノイズキャンセリング |
充電方式 | USB-C | 専用マグネット | 専用マグネット | USB-C |
カラー |
ブラック ベージュ |
ブラック ブルー ベージュ ピンク |
コズミックブラック ルナグレー ブルーエクリプス ソーラーレッド |
スレートグレー エレベーションブルー アルパインホワイト ヒマラヤンピンク |
発売日 | 2022/10/14 | 2022/3/1 | 2022/3/1 | 2020/9/18 |
レビュー記事 | ※本記事 |
OpenRun Pro レビュー |
Aeropex レビュー ※OpenRunは ほぼAeropexと 同スペック |
OpenMove レビュー |
軟骨伝導ヘッドホン・ATH-CC500BTの価格は、Shokz骨伝導イヤホンで言うとスタンダードモデルのOpenRunと同じくらい。
また、ATH-CC500BTはShokz骨伝導に比べ仕様上のバッテリー連続駆動時間が約20時間と倍くらいある一方で、6〜9gほど重くなっています。
それ以上のことは、この表からだけだと読み取りにくい。
ここからは、両製品の実際の写真や私が両方使ってみたレビュー評価を掲載します。
オーテク軟骨伝導とShokz骨伝導の共通点
まず、オーディオテクニカの軟骨伝導ヘッドホン、Shokz骨伝導イヤホンの共通点について確認しておきます。
- 耳栓のように耳に入れるイヤホンや耳を覆うタイプのヘッドホンと違い、耳の前の骨を振動させて音を伝える
- 耳をふさがないので、車の近づく音や家族の呼ぶ声などを聞き逃しにくい。一方で、周囲の音が耳に入るため音楽への没入感は薄め
- 耳にはめ込むイヤホン・ヘッドホンに比べて疲れにくい
- 耳をふさぐタイプに比べるとやや音漏れしやすいので、大音量で聴く用途には向かない
軟骨伝導ATH-CC500BTとOpenRun Proのデザインを写真で比較
軟骨伝導ヘッドホン・ATH-CC500BTを、私が現在使っているShokz OpenRun Proと並べて撮影してみました。
※なお、OpenRun ProとOpenRunのデザインはほぼ同じ
左のベージュが軟骨伝導ヘッドホンATH-CC500BT、右のブラックがShokz骨伝導イヤホンOpenRun Pro。
形状としては似たような感じですが、耳当ての部分がオーテク軟骨伝導は角張っていて、Shokz骨伝導は丸みを帯びているのがパッと目に入るいちばんの違いでしょうか。
実際に耳に当てる面を見てみると、その違いは一目瞭然。
ただ、この角のとがった部分が耳に当たったりするわけではないので、この形状の違いそれ自体が装着感に影響することはありません。
上から見たところ。仕様上はオーテク軟骨伝導が35g、OpenRun Proが29gとその差は6gなんですが、並べてみるとオーテク軟骨伝導の方がかなり大きくゴツく見える。
その分、前者は連続駆動時間が約20時間とOpenRun Pro(約10時間)の2倍。この重量の差はバッテリーによるものが大きいと思われます。
前から見るとShokz骨伝導はさほど主張してこないのに対し、オーテク軟骨伝導はモコッと出っ張った感じになります。私は自宅使用なのでどっちでもいいですが、気になる人は気になるかも。
オーテク軟骨伝導は主に左耳側、Shokz骨伝導は主に右耳側にある操作ボタン群。
前者はUSB-C充電なので、汎用ケーブルも使える一方で差し込むのが面倒。
OpenRun Proは専用ケーブルでしか充電できない一方、マグネットでくっつくため日々の充電はラク。一長一短ですね。
※Shokz骨伝導の中でもエントリーモデルのOpenMoveはUSB-C充電
軟骨伝導と骨伝導、耳に当たる部分は違う?
オーディオテクニカの公式Webサイトによると、軟骨伝導と骨伝導で音の伝達経路が異なるとのこと。
ですが実際に私が軟骨伝導と骨伝導の両製品を装着してみたところ、どちらも「耳の前あたりに当たってる」という感覚。
厳密に言うと違う場所なのかもしれませんが、正直わからない。
実際にそれぞれ装着した写真がこちら↓。左がオーテク軟骨伝導ヘッドホン、右がShokz骨伝導イヤホンです。
少なくともオーディオテクニカのサイトに掲載されている以下の画像はちょっと違うのでは…?と。
※骨伝導の「音源」が頭の側面あたりにあるが、そんな場所に音源を当てたりはしないので
(ATH-CC500BT|ヘッドホン|オーディオテクニカより画像引用)
音質を比較
オーテク軟骨伝導ヘッドホン・ATH-CC500BTとShokz骨伝導イヤホン(OpenRun Pro)で、同じ曲を何曲か聴き比べてみました。
Shokz骨伝導に慣れた耳でオーテク軟骨伝導を使って曲を聴いてみると、そのクリアなサウンドに驚かされます。特に中高音の解像度が高く、ハイハットの1つ1つまで響いて細かい音まで聞き取りやすい。
しっかり響きすぎて、ファミコンゲームのサントラのとある高音曲ではちょっと耳にキーンとくる感じがするほどでした。
(キーンと来るほどの感覚はこの1曲だけなので、そこまで気にすることはないかと)
それと比較すると、Shokz骨伝導の方は全体的におとなしめ。単体で物足りないと感じるほどではないですが、どちらの方が音質が良いか?と聞かれたらオーテク軟骨伝導に軍配が上がります。
軟骨伝導ヘッドホンは音量が小さい?
次に音量の比較。
特にオーテク軟骨伝導のほうはAmazon等に「音が小さい」というレビューが複数ありますが、実際どうなんでしょうか。
それほど大音量で聴く方ではない私としては、自宅あるいはそれほど騒がしくないオフィスやカフェ等、比較的静かな場所で使う分にはオーテク軟骨伝導でも十分実用に足る音量は出せるように感じました。
それなりに静かな環境であれば十分だと思いますが、最大音量が他のイヤホンに比べてあまり大きくないのも事実。
通常のイヤホンだと聴いていられないくらいの大音量まで上げようと思えば上げられる場合がほとんどですが、オーテク軟骨伝導だと最大音量にしても「これで最大なの?」くらいまでしか上がらない。
たとえば交通量の多い道路の脇を歩くときなど周囲の音が大きい環境だと、耳をふさいでいないこともあって音源があまり聴こえなくなってしまいます。家電量販店も店舗によって店内BGMや人の声などで騒がしかったりするので、試聴環境によっては音量が足りないと感じるかも。
Shokz骨伝導だとオーテク軟骨伝導よりもやや大きな音量は出せるものの、こちらも耳をふさぐタイプのイヤホンに比べると最大音量は限られています。
また、Shokz骨伝導は音量を最大付近にすると振動が強くなってしまうので、耳がこそばゆくて聴き続けづらい。
以上より、どちらかと言えばShokz骨伝導の方がやや大きい音が出るものの、そもそもどちらも騒がしい環境でちゃんと音楽なりオーディオブックを聴きたいときには向いていない機種といえるでしょう。
操作性の比較
操作性に関しては、オーテク軟骨伝導は細かいところでいま一歩だなと感じるポイントがいくつもありました。
慣れればそれほど困らないかもしれませんが、改善の余地はあるかなと。
- ペアリングモードが存在しないため、一旦デバイスとペアリングすると毎回必ずその機器と接続してしまう。そのため一旦接続解除しない限り他デバイスとペアリングができない
- 左右にまったく同じ形状のボタンがあり右が長押しで電源オン/オフ、左が再生/一時停止となっているので、どっちを押せばいいか慣れるまで毎回迷う
- 音量ボタンを押しても操作音が鳴らないので、音量が調整できているかわかりにくい
- ボタン操作が利かなかったり反応が遅いことがある
- Bluetoothのつながる範囲を出ていないのに、一時停止してしばらくするといつの間にか接続が切れていることがある
- 充電用USB-Cポートのフタがずらせない構造になっているので、地味にケーブルを挿しづらい
その点、Shokz骨伝導イヤホンは合計5年使っていて「これは直してほしいな」と思ったことは今までなし。操作性に関してはShokzの方が良好です。
長時間装着してみた感想
オーテク軟骨伝導ヘッドホンを長時間装着してみたところ、耳の上の方がだんだん痛くなってきてしまいました。
1時間程度ならほぼ何ともないんですが、2時間、3時間と経っていくうちにフックのかかっている耳の上の部分がジンジンしてくる。
Shokz骨伝導イヤホンは毎日のように何時間も装着していますが、まったく何ともありません。だから毎日の作業中に使える。
この差の原因として考えられるのは3つ。
① 6〜10g程度の重量差
オーテク軟骨伝導ヘッドホンは、Shokz骨伝導イヤホンシリーズよりも6〜10g程度重い。
数値にすると大したことはないように思いますが、長時間使っているとこの小さな差が効いてきている可能性があります。
ちなみに実測値での重量は、オーテク軟骨伝導ヘッドホンが35.8g。仕様上は35gなので、個体差があるとはいえちょっとだけサバ読んでるかな?という気も。
OpenRun Proは28.3g。(仕様:29g)
なお、ShokzのAeropex(現:OpenRun)は26.2g(仕様:26g)、OpenMoveは29.3g(仕様:29g)でした。
② フック形状の違い
オーテク軟骨伝導とShokz骨伝導の耳フック形状を比較すると、前者がやや急で、後者がややなだらか。
この違いが装着感の差を生んでいる可能性も。
③ 締め付け強さの違い
オーディオテクニカの軟骨伝導の説明によると『軽く当てるだけで音を伝えられる』ことが骨伝導と比較したときのメリットの1つとのこと。
「軟⾻伝導」:⽿の軟⾻部に触れる程度の装着で、効率良く⾳を伝えられるため、頭部への圧迫も少なくなります。
「⾻伝導」:頭蓋⾻に直接振動を伝えるため、必ず⾻のある部位に装着しなければなりません。また、強く圧迫する必要があるため、痛みが出やすい傾向があります。
ATH-CC500BT|ヘッドホン|オーディオテクニカ
実際にオーテク軟骨伝導ヘッドホンは締め付け弱めに作られているんですが、その結果重量がよりダイレクトに耳上部にかかる形となり負担となっているのでは?という気がします。
なお、上記オーディオテクニカの説明で『骨伝導は強く圧迫する必要があるため痛みが出やすい』とありますが、5年以上Shokz骨伝導イヤホンを使っている私から言わせればまったくそんなことはありません。(個人差はあるかもしれませんが)
【結論】オーテク軟骨伝導とShokz骨伝導、それぞれどこがおすすめ?
ここまで書いてきたオーディオテクニカの軟骨伝導ヘッドホンと、Shokzの骨伝導イヤホンのおもな特徴をまとめます。
軟骨伝導ヘッドホン
- これまでの骨伝導に比べ高音質。特に中高音の解像度が高い
- 耳あて部分が角張った特徴的デザイン。Shokz骨伝導と比べるとかなりゴツめで、装着しているとそこそこ目立つ
- 複数機器とのペアリングや再生/一時停止、音量調整など操作に慣れが必要。改善の余地あり
- 長時間使っているとフックを掛けている耳の上のあたりが少し痛くなる(個人差あるかも)
骨伝導イヤホン
- 十分聴けるクオリティだが、比較するとオーテク軟骨伝導のほうが音質は上
- 丸みを帯びたデザインで、オーテク軟骨伝導に比べるとスリムで比較的目立ちにくい
- 操作性に関してストレスを感じることはない
- 何時間装着していても疲れたり耳が痛くなったりしない
イマイチ詰めが甘い操作性に加え長時間使っているとやや耳に負担がかかってしまうものの、従来の骨伝導イヤホンに比べて音質はかなり良いオーディオテクニカの軟骨伝導ヘッドホン。
約20時間もの連続再生が可能なバッテリーを搭載しているものの、この連続再生時間を活用できるのは強い耳を持っている人限定になりそう。
音質の面ではオーテク軟骨伝導ヘッドホンにやや劣るものの、快適な操作性とスリムでクセのないデザイン、長時間使っても耳が疲れないShokz骨伝導イヤホン。
エントリーモデルのOpenMoveは連続再生約6時間、OpenRunは約8時間、最上位モデルのOpenRun Proは約10時間。オーテク軟骨伝導よりは短いですが、毎日充電すればまず困ることはないくらいのバッテリー持続時間はあります。
オーテク軟骨伝導の方が確かに音は良いものの、Shokzに比べると耳に負担がかかるので毎日長時間使うのはちょっと厳しい。
よって、作業をしながら自宅で毎日5〜10時間くらいイヤホン・ヘッドホンを使う私の場合は、Shokz骨伝導イヤホンをこのまま使い続けることになりそうです。
本当に高音質で音楽を聴きたいときは、耳をふさいだり覆ったりするタイプのイヤホン・ヘッドホンを使えばいいですからね。
どちらを買おうか迷っている人にも、現時点ではShokz骨伝導イヤホンがオススメ。
その中でも、性能と価格のバランスから言ってスタンダードモデルのOpenRunが一押し。
OpenRun Pro、OpenRun、OpenMove、OpenCommの違いを比較。おすすめのShokz骨伝導イヤホンは?
オーテク軟骨伝導は高音質でデザイン含め尖った製品ではあるものの、クセがあるしちょっと重いしで万人にはすすめづらいんですよね。合う人には合うと思うんですが。
価格と使用感、軽さ、操作性など全体的な完成度から言って、Shokz骨伝導イヤホンをすすめておけば間違いない安心感、信頼感があります。
オーディオテクニカの軟骨伝導ヘッドホンレビュー まとめ
この記事では、オーディオテクニカの軟骨伝導ヘッドホンのくわしいレビューと、市場でおそらくライバルとなるShokz骨伝導イヤホンとの比較をしました。
せっかく音がいいのに軟骨伝導方式およびそのメリットと関係ない点で損をしている(ように私は感じた)オーテク軟骨伝導ヘッドホンは荒削りで、まだまだ改良の余地あり。
私は今のところShokz骨伝導イヤホンを使い続けるつもりですが、今後長時間つけていても疲れにくく操作性も改善された軟骨伝導ヘッドホンが発売されたら乗り換えもあり得るかも……!